実家に帰って、久しぶりに書棚を開けてみると、そこに昔読んだ本がいろいろと出てきた。最初に目に付いた本が、ハードカバーの『項羽と劉邦(司馬遼太郎著)』だった。現在自宅には文庫版があるのだが、ハードカバー版は久しぶりに見た。
 この本は二十代から三十代にかけて何度も読んだ本で、何度も人に貸した本だ。そのため本は汚れ、ページも所々折れ曲がっている。しかし愛着のある本だ。

「そういえば、前にブログで『項羽と劉邦』のことを書いたことがあったなあ」
 と探してみたら、およそ9年前に書いた記事を見つけた。
劉邦は項羽との戦いで、たったの一勝しかしてない。
だけどこのたったの一勝が、彼を皇帝へと導いた。
勝ち続ける人生は、確かに気持ちいいものかもしれない。
とはいえ負け続けの人生だって、決して悪いものではない。
夢さえ捨てなければ、いつかは劉邦の道を歩めるのかもしれないのだから。

項羽は劉邦との戦いで、たったの一敗しかしてない。
だけどこのたったの一敗が、彼の命取りとなった。
とはいえ彼は人生に、負けたわけではない。
虞美人という永遠の恋人を得て、伴に最期を遂げられたのだから。
恐妻家の劉邦が、晩年幸せだったとはどうしても考えにくい。
一度は項羽を羨んだのではなかろうか。


 この記事を読んで思ったのが、自分の人生は劉邦と項羽のどっちだということだ。
 ぼくはこれまで職を何度か変えているし、収入も人並み以下だった。そういう観点からすると、敗者なのかもしれない。ということは劉邦的だということになる。
 一方、嫁さんは虞美人には遠く及ばないものの、結婚生活は悪くはないとぼくは思っている。その観点からすると、ぼくは勝者なのかもしれない。ということは項羽的だということになる。
 つまり、ぼくは劉邦と項羽の両方とも兼ね備えているということになるのか。まあ、天下を揺るがすような大人物ではないのは確かだが。